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MacOSXの源流『NEXTSTEP』とWebブラウザの起源『WorldWideWeb』に触れる

自分は趣味としての観賞用というか、盆栽用に古いコンピュータを何台か持っているんですが、その中にかつてApple Computerを追われたSteve Jobsが作った『NeXT社』のワークステーション、『NeXTstation』があります。今の住居に引っ越す際に梱包して以来、そのままクローゼットに放置したままになっていたので動作確認も兼ねてちょっと引っ張り出してみました。別に自分は現役で使ってた訳ではなく後になって入手したクチで良く知らない部分も多いので、ちょっと調べながら画像を交えて軽く紹介したいと思います。

所有しているのは『スラブ』と呼ばれる平べったい形状の『NeXTstation TurboColor』の方で、残念ながら立方体のデザインが特徴の『NeXTcube』ではないんですが、CPUにQuadora以前のMacにも採用されていた『68k』のMC68040/33MHzを搭載したシリーズ中では最速のモデルです。


下は1990年、Steve Jobs氏によるNeXTのプレゼンテーションの動画。


本体のフタを開けると中はこんな感じになっていて、電源とロジックボードに隠れてしまってあまり見えませんが、シャシーはNeXTcubeの筐体と同じくマグネシウム合金製で、右側に見えるフタの内側も同じ部材で覆ってシールドされています。昔のMac(IIciとか)も筐体の内側が銀色ですが、あのようなメッキとは違って数mmの分厚い材質でできています。底部にはファンからの熱を逃がす開口部があり、フィンの形状に加工されるなど凝った作りになっています。



ディスプレイやキーボードは、本体に接続した『SoundBox』と呼ばれるスピーカーを内蔵したインターフェースを介して接続します。キーボードから電源のON/OFF、音量やディスプレイの輝度を調節出来る様になっていました。後期のTurboモデルではG3以前のMacに採用されていたADB仕様のキーボードとマウスが用意されていて(画像の下のもの)、これらのキーボードやマウスは『秋葉館』等のショップで扱っていたのでMac用に購入して使っていた人もおられるのではないでしょうか。


それでは、MacOSXのベースとなったOS、『NEXTSTEP』(バージョンは3.3J)を起動してみます。下の画像はログイン画面で、ログインに失敗するとダイアログが左右にブルブル振動する動作はMacOSXになっても変わっていません。


ファイルやフォルダの管理はMacOSXのFinderに相当する『Workspace Manager』と呼ばれるアプリケーション上で行います。ウインドウの上部にフォルダやファイルへのショートカットを登録する『シェルフ』を持つ等、MacOSX10.2 JaguarまではFinderのウインドウはこれと良く似たレイアウトになっていました。画面の右側にあるのがランチャーとして機能する『Dock』で、ドラック&ドロップでアプリケーションを登録します。ベースになっているので当然なんですが、ディレクトリの構成や命名規則等、MacOSXとの共通点が数多くあります。

アプリケーションがインストールされている『NeXTApps』フォルダの中にはMacOSXでおなじみの『Preview.app』や『Terminal.app』、スクリーンショットを撮る『Grab.app』もあります。拡張子が『.app』のアプリーケションはMacOSXのものと同様、実態は複数のファイルがバンドルされたパッケージになっています。

『Mail.app』を起動したところ。受信箱にはSteve Jobsからのメッセージが入っています。

メールの文章中に画像が表示されていますが、このメールは独自の『NeXTMail』形式で、画像や音声を直接挿入出来、送信するメールを作成する際にドラッグ&ドロップで配置出来る様になっています。

今回スクリーンショットを撮るのにGrab.appが大活躍しましたが、スクリーンショットとして保存されたTIFF画像をMacにコピーするためにNeXTstation側でNFSサーバを起動しておき、Mac側でマウントしてファイル共有しました。またインターネットへの接続もブロードバンドルータを使った環境ならネームサーバやルータのIPアドレスを設定をしてやるだけで行えます。ただ、伝統的なUNIXの設定ファイルではなく、GUIの設定ツールを使わないと設定が反映されない等、若干ハマる部分がありました。(このあたりはMacOSXでも時々起こる事ですね)

では次に、インターネットに接続してみます。

世界初のWebサーバはNeXTで動作していた』というのは有名な話ですが、その辺の蘊蓄は他に任せるとして、初期の『HTTPを使ったブラウザ環境』がどんなものだったのか見て行きます。

Webサーバと共にTim Berners-Leeによって書かれた最初のWebブラウザ、『WorldWideWeb』を起動してみます。(画像は若干バージョンが進んだ『WorldWideWeb1.0』のもの)

『Navigation』パネルに『<Previous』『Next>』ボタンがありますが、これは現在のブラウザの様に閲覧したページを行き来するのではなく、HTML上に出てくるリンクタグの順に辿って行くような動作をします。


デフォルトでは起動直後に『default.html』というファイル名の、Webについての概要が記述されたページが表示されるようになっているんですが、これが本来の意味での『ホームページ』ですね。『Home』ボタンで表示されます。

下はMacで言うところのAbout画面。


初期のバージョンのWorldWideWebは、単一のファイルしか読み込まず、HTML中に画像などの外部ファイルへのリンクがあってもそれらを取得して行く動作はしませんでした。当然バーチャルホストやリダイレクトにも対応出来ず、現在のWebページをマトモに表示(というか取得)する事さえ出来ません。ただ、HTTPの仕様が固まり、NEXTSTEPの開発環境と共にWorldWideWebのバージョンが新しくなるにつれ、同じウィンドウ内でテキストと画像をインラインで表示出来る様になる等、徐々に現在のものに近づいて行きます。(下の画像は『Nexus』と改名された後のバージョン2の画面)


試しに、自前のWebサーバにアクセスしてどのようなHTTPリクエストを出しているか見てました。

初めのバージョンではGETメソッドとファイルのパスのみでHTTPのバージョン表記さえありませんが、

    GET /manual/index.html.en HTTP/1.0\r\n
Accept: */*; q=0.300\r\n
Accept: application/octet-stream; q=0.100\r\n
Accept: text/plain\r\n
Accept: text/html\r\n
Accept: */*; q=0.050\r\n
Accept: audio/basic\r\n
Accept: image/x-tiff\r\n
Accept: image/gif; q=0.300\r\n
Accept: application/postscript\r\n
User-Agent: CERN-NextStep-WorldWideWeb.app/1.1 libwww/2.16pre1\r\n
\r\n
比較的新しいバージョンでは上記の様に見慣れたHTTPヘッダを持つリクエストを出す様になっています。Acceptヘッダに記述されている、ブラウザが受け入れ可能なファイルのタイプとして、『Postscript』が指定されているのは、主に研究機関で利用されていた事に由来しているんでしょうか。

また、WorldWideWebは表示しているページを直接編集出来るエディタとしても機能する等、現代のブラウザからは消えてしまった機能も持っていました。選択されているテキストのタグを表示してスタイルを変更する事も可能です。


以上、ざっと駆け足で見てみました。当時のネットワーク環境も良くわからないのでもっとじっくり見てみないと不明な部分も多く、間違った解釈をしている点もあるかも知れません。MacOSXが語られる時にそのベースとなった『NEXTSTEP』の文字は良く見かけますが、その割に露出は少ない様な気がするので、少しでも参考になればと思います。

■参考リンク
NeXT Computer Historical Site
Web Browser History - First, Early
World Wide Web@20
evolt.org - Browser Archive
日本最初のホームページ
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choco
Author : choco

印刷・製版の現場を経て、広告制作会社でPhotoshopを使ったビジュアル制作を担当。

→現在は車載機器開発ベンダにて、組み込み3Dデータ作成やUIデザインなどを行っています。

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